のどの急な炎症が喉に起こると痛みや発熱を伴うことがよくあります。慢性になると熱はなく、痰がからみ、いがらっぽさが続くようになります。上咽頭に炎症が起こると鼻の奥の張り付き感や黄色い痰や塊が出る上咽頭炎になります。
また喉頭炎になると声帯の発赤や腫脹がみられるため声嗄れが出ます。内服治療や吸入で軽快することが多く、場合によっては咽頭の処置なども行います。
急性扁桃炎は左右の口蓋扁桃に痛みや発熱を伴う、急激な症状の炎症性疾患です。通常抗生剤の治療で改善がみられます。年に数回、発熱や咽頭痛が出て仕事や学業に支障を来す方は手術をお勧めすることもあります。手術適応など分からないことがあればご相談下さい。
慢性扁桃炎になると、喉の違和感がずっと続くようになり、扁桃に匂いがする白い塊(膿栓)がみられることもあります。症状が強い場合は抗生剤の内服で軽快することがあります。
唾液の減少により口腔内が乾燥すると口内炎、咽頭炎、虫歯などの原因となります。その他味覚に変化を感じたりすることもあります。
加齢による唾液減少を防ぐことは難しいものの、治療により症状が軽快することもあるため、あきらめずに一度ご相談下さい。
その他、唾液減少を伴う疾患(膠原病など)が疑われることもあります。
声帯が炎症の名残や、大きい声を出した際に声帯粘膜内で出血して腫れたことにより、ポリープ上に腫れることがあります。声がれの原因となります。また大きい声を常時出している方は、声帯に「発声ダコ」のような結節を生じることがあります。
いずれも良性の疾患ですが、内服、吸入などにより改善することがあります。タバコが原因となることもあり、その際は禁煙が必要です。治療に抵抗する場合はご希望により手術を検討することもあります。
その他、声帯に前がん病変の白板と言われる白色病変が出ることがあります。声がれの原因となることもあり、喫煙歴のある方は注意が必要です。
口内環境が整っていない場合や、血中の亜鉛や鉄の欠乏により味覚に障害を来す場合があります。口の中を精査し、血中の亜鉛値などを精査の上、亜鉛補充などを行うと改善することがあります。
胃酸の逆流により、その周辺の下咽頭、喉頭が障害されると、様々な症状が出現します。げっぷのみならず、喉のつまり、痛み、違和感、異物感、咳や声枯れなど、その症状は多彩です。また何も悪いところはない場合でも喉の詰まり感などが続く咽喉頭異常感症という女性に多い病気もあります。気になるかたはご相談下さい。
また、のどのつかえが徐々に悪化する場合は食道病変が疑われる場合があります。症状を伺い、胃カメラなど必要な場合はご紹介させて頂きます。
口の中にできる悪性腫瘍があります。口内炎が同部位に2週間以上ある場合、悪化傾向がある場合、潰瘍や硬くなっているところがある場合は注意が必要です。虫歯や歯の金属も原因となる可能性があります。進行が速いことも多いため気になる症状がある場合は早めにご相談下さい。
扁桃周囲や、喉の奥にがんができることがあります。咽頭は鼻の突き当りから食道の入り口まで3つに分かれ、上咽頭、中咽頭、下咽頭といいます。痛みや喉のつかえで気づく事もありますが、出血が続く場合なども検査が必要です。
喉頭がんは声帯周囲のがんで、声帯にがんができると声嗄れが出ます。徐々に悪くなり、1か月以上改善しない声嗄れは注意が必要です。喉頭がんはタバコが原因になることも多く、喫煙歴のある方は早めの受診をお勧めします。咽頭がんは喫煙、飲酒がリスクとなるため、大量飲酒歴のある方も早めの検査が必要です。
また喉はリンパ組織がもともと多く、悪性新生物の一つである悪性リンパ腫が喉からみつかることもあります。検査は鼻から極細内視鏡を挿入することで、ごく短時間で当日検査ができます。安心してご相談下さい。
飲み込みが悪くなり食事の時にむせることが多くなった場合、肺炎のリスクになります。
気になる場合は嚥下の検査ができ、食事の際のアドバイスをすることができます。また喉のつかえの状態を伺い、必要に応じて詳しい検査や専門機関をご紹介させて頂きます。
口腔内には常在菌としてもともと多数の細菌が生息しており、感染症から守られています。
そのため抗生剤使用やステロイドの内服、吸入など免疫抑制がみられる薬剤を使用することによって口腔内の細菌叢に変化が起こりカンジダ(真菌=カビ)を発症します。口の中には白色病変が散在し、痛みや違和感を伴うことがあります。 問診や菌検査でこれらを疑う場合には抗真菌薬を使用した治療を行うと多くは短期間で症状が改善します。
口の中の左右両側に親指大の塊がみられ、これを口蓋扁桃といいます。いわゆる扁桃腺のことを指します。そもそもはリンパ組織の塊で、同様に口蓋垂(のどちんこ)の裏側にアデノイドという組織塊があります。鼻と耳をつなぐ鼻側出口に位置します。
検診などで指摘されることがあり、いびきの大きさや、睡眠時無呼吸と関係することもありますが、多くは直接的に体に害になることはありません。まれに扁桃が大きすぎるために固形物が飲み込みにくく吐き戻しがある、無呼吸が重症である、アデノイド肥大により中耳炎を繰り返す、鼻閉があり口呼吸となっている、などの症状がみられ、手術適応となることもあります。しかし口蓋扁桃やアデノイドは小学校低学年から高学年をピークに縮小することが知られており、ある程度の大きさがありながらも経過観察となることもよくあります。
上咽頭は鼻のつきあたりで口のなかからはみることができない、喉の最上部です。
急性咽頭炎のあとに慢性化し、粘り気のある粘液や黄色い痰、塊が付着することがあります。
鼻が喉に流れると思っていても、上咽頭からながれている場合もあり、自覚的には区別がつきません。また風邪やコロナ感染の後遺症として鼻の奥に張り付き感が持続し、不快な状態や倦怠感の原因となることもあります。内視鏡で検査を行い、検査をした上で治療法を検討します。治療には薬物治療、洗浄、薬液による上咽頭擦過療法(EAT=Bスポット療法)などを行うことがあります。